セツナイロ
color 3
風はサラサラと、道端に舞い降りた枯れ葉を流した。
昨日よりも全然軽い体と、ずっとずっと重たい心。
あたしは無表情のまま帰路を歩んでいた。
通り過ぎる犬に吠えられ、誰かにぶつかって、少し怒鳴られた。
でもそんなのは無視。
今の空っぽのあたしには何も見えず、何も聞こえない。
自分が今何を考えていて、どこに向かって歩いているのかさえも分からない。
「ユズ…?」
ぼーっとしたあたしをその声は目覚めさせた。
「ユズだよな?」
肩に置かれた手から伝わる温もりを感じた。
誰なのかは分かっている。
「良かった…
心配してたんだよ。」
そう言って眼鏡の奥から優しく微笑むのは
「ん?どした?」
ユウくんだった。