セツナイロ
今日は曇り空。
天気予報では晴れの筈だった。
「ほら!
アスカ取り返さなくっちゃ!」
両手にガッツポーズを掲げて、ルナはようやく涙が止まったあたしの瞳を見据えた。
その真っ直ぐな瞳に、あたしは諦めにも近い、気力の抜けたような笑顔を浮かべた。
今の自分の顔を鏡で見たとするなら、道路の水たまりの横で冷たくしなびた枯れ葉みたいな。
そんな生気の無い感じなんだと思う。
「…どうしたの?」
あたしの笑顔を不審に思ったように、ルナの声のトーンが落ちた。
「もう、いいんだ…
間に合わないから…。
アスカが幸せならそれで…ね?」
きっとこのあたしの言葉でルナの心に傷を付けたんだと思う。
「っ…そっか、そうだね!
あ、あたしちょっとトイレー!」
クルリと後ろを向いて走って行く。
「ごめん…ルナ。」
聞こえない。
きっとルナには届かない。
それでも謝ったのは自己満足の為。
アスカの事だってまだあたしのずっと奥では諦めてなかった。
まだ、アスカに片思いをしていたかった。
結局あたしは、自分の事しか考えていない。
ワガママばっかりの、どうしようもない奴だった。