セツナイロ


残り8秒の時、教室のドアが勢いよく開き、アスカが駆け込んできた。


「おぉ!
噂をすればアスカじゃん?」


「彼女に会ってイチャついてたんだろ?」


クラスの男子に冷やかされながらも笑顔のアスカ。

「そんなんじゃないって。」


そうアスカが言ったけど、あたしには信じられなかった。


というより、事実を受け入れるのが怖くて。



あたしはまだアスカに対しての気持ちが消えていなかった。

それどころか前より強くなった気もした。




アスカと目があう。

あたしは視線を逸らし、窓に向けた。



空には2匹のすずめが鳴きながら遊んでいた。



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