セツナイロ

ホワイト



教室に響く声も、
廊下を走る足跡も、
チャイムの音さえもあたしの耳には入らない。



まるで萎んだ風船のように、元気を失って、どこかふにゃりと緩んでいた。




頬杖をつきながら眺めた空は、先程とは大きく変わって、灰色の雲が一面を覆っていた。



あたしはアスカの事が好きだ。
でもそれ以上に、今は悔しかった。


高校に入ってからずっと一緒にいた4人、
あたしに関しては人生のほとんどを共に過ごしてきた仲間だというのに。


アスカは彼女を選んだ。
それも話した事もないような女。




それが悔しく、そして苦しくあった。



唇を噛み締め、遠くを眺めるルナとハルキもきっと同じ気持ちなんだと思う。




< 96 / 203 >

この作品をシェア

pagetop