Rainbow Love Story [短編集]
「酷いなぁ、未緒さんは…」
俯きながら言う海谷さん。
「あのっ、本当にごめんなさい…。―と、離してもらえますか…」
確かに、お見合いをしてるときに他の男の人の名前を出しちゃうなんて、失礼だよね。
そうは思っても、やっぱり香夜さんの顔しか浮かんで来なくて。
だから、腰に回ってる手をほどこうとしたのに、びくともしない。
それどころか、更にぐいっと抱き寄せられて。
「まぁ、あなたが誰を想っていようが関係ないんだけどね?」
「え…」
「僕が、狙った人を只で帰すとでも?」
妖しく笑みを浮かべたかと思うと、すぐ近くに顔があって。
「―っ、なにを…んっ」
―え!? キス!?
その瞬間、海谷さんを突飛ばしてしまった。
「…ってぇ」
「―っからかわないで下さい!」
今…何が起きたの!?
意味がわからない。
こんな…好きでもない人と…
香夜さんじゃ、ない人と…