Rainbow Love Story [短編集]
「待った!」
そう聞こえたかと思うと、師匠の胸の中にいた。
「ありす、よくできました!ただ、言い逃げは良くないかなー」
「な…?」
突然そんなこと言うから、驚いて師匠を見上げる。
そこには、さっきまでとは打って変わってにっこり笑った顔の師匠。
「さっきの言葉の続き、言わせて?」
さっきの言葉…?
『それが嫌なら…』の、続き?
それが嫌なら、さよならじゃないの?
だって師匠は、去るもの追わず、でしょ?
泣きそうな顔になっていたのか、師匠が頭を優しく撫でてくれる。
「それが嫌なら…。
俺の彼女にならない?って言おうとしてたの!」
え…? 今、なんて…?
彼女…?
「うそ…。だって、師匠、好きな人は、女の子みんなで…。あ、彼女、も、たくさんいるとか…?」
「本気。好きな人はありすだけだし、彼女もありすだけ。俺さ…、さっき、弟子辞めるって言われたとき、俺がちゃらちゃらしてるから、嫌われたと思った。」
少し照れて話しているのがわかる。
「そう思ったのに、あーんなかわいいこと言ってくれちゃうじゃん?」
「かわいいこと?」
「他の女の子みたいに、って。」
にやっと笑いながら言われて、また顔が熱くなる。