一瞬の輝き
バタバタバタ

廊下が騒がしい。

「輝!!」

そこには、
先ほど連絡した武藤君がいた。

いつもの冷静な武藤君ではなく、
髪や服装は乱れ、息を切らしていた。

「小母さん、輝は?」

「意識がなくなった時点で、
延命は望まない」

「は?」

「輝がそう言ったんです。
だから、意識がなくなったら、
呼吸器をはずす予定です。
まだ意識はあります。
あとはちゃんと話してください」

私には、輝が好きになった人、
武藤瞬君と最後の時間を過ごし、
大人になれないこの子に、
別れを惜しんでほしい。

ちゃんと、好きだと言ってほしい。

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