一瞬の輝き
「…お願いします」

小さな声でそう答えた。

「わかった。
それでは出発は
12月25日午前中です。」

「…大丈夫、輝?
いま、
ICUにいるほどの重体なのよ?」

教授が出て行ったあとで
お母さんが言った。

「大丈夫。
あたし、生きたいの。だから、頑張る」

「…そう。わかったわ」

「あの、小林さん」

看護婦さんが話しかけてきた。

「はい?」

「お電話です。
武藤、という方から」


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