【長編】好きって言って
「謝るな」
そう言って輝はフッと寂しそうに笑った。
すると輝は、あたしの涙に輝は触れようとしたけど、その手をギュッと握った。
「その涙は……兄貴に拭ってもらえよ」
そう言ってあたしを保健室の扉の方を向かせると、あたしの背中をポンと叩いた。
「……1人で……行けるか?」
「うう……」
泣きじゃくりながら、あたしは何度も頷いた。
「……頑張れよ」
歩き出すあたしの後ろから、そう……優しい輝の声が聞こえた。
「ふぅ……っく」
その声が切なくて。
寂しくて。
涙が溢れた。