【長編】好きって言って
少しそれもあって、緊張が解けた気がした。
「……久しぶり」
そう耀はあたしを見つめながら口を開いた。
「うん」
「元気だった?」
優しい目であたしを見下ろす耀はまたあたしに聞く。
「元気……だったよ」
泣いてばっかいて、それは嘘になるかもしれないけど。
あたしは笑顔でそう答えた。
「そっか」
満足そうに笑う耀を見て、ほんの少し……胸がチクッとした。
何だか……初対面の会話みたい。
この何週間で、他人になっちゃったみたい。