【長編】好きって言って
「それでも……やっぱり芽衣を誰にも奪われたくなかった」
それでも芽衣を俺のものにしたかった。
輝に……芽衣を渡したくない。
「う……っふ」
ギュッと俺の芽衣を抱きしめる力が強くなる。
「こんな俺でも……好きでいてくれる?」
輝の方がこの先芽衣を幸せにできるかもしれない。
でも……芽衣を好きな気持ちは負けない。
誰にも。
掠れた声を聞くと芽衣はは何度も何度も頷いた。
泣きながら、何度も……何度も。
「あたしをっ……離さないで」
泣きながら俺の背中に腕を回す芽衣。