【長編】好きって言って
顔を隠す為に俯いていると、ニヤッと笑いながらあたしの頬を抓った。
「なぁに、赤くなってんのよ。惚気てんじゃないよぉ?」
「いひゃい……」
抓られて上手く話せない。
でも……まぁ。
惚気ますよ。
そりゃ。
だって……小さい頃からの片思いが実ったんですよ?
すると楓はあたしの頬から手を放して、その手をあたしの頭の上に乗せた。
「でも、ホント……よかったね?」
そう言って乗せている手であたしの頭を優しく撫でた。
「うん」
そしてフッと笑って、椅子に座りなおすと、またジュースを飲みだした。