【長編】好きって言って



すると耀は後から腰掛けたあたしを見つめてフッと笑った。




「で?……何で芽衣ちゃんはご機嫌斜めなのかな?」




その笑顔を見て、あたしは顔を赤く染める。




……う。




怒ってるけど、格好いい……。




「別に……」




そう言ってあたしは頬を膨らませながら視線を逸らした。




すると耀はあたしの腰に腕を回してあたしを引き寄せると、顎に手を伸ばしてあたしは耀の方に向かせられてしまった。




間近にある耀の整った顔。




耀は唇が触れるスレスレまで顔を近づけて、口を開いた。




「ちゃんと言わないと……キスするよ?」




え!?




あたしは横目で辺りを見る。




< 170 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop