【長編】好きって言って
結局あたしの機嫌直しのせいで、デートができなかった。
家まで歩いて帰って、あたしの家の前で。
「耀……ごめんね?せっかくのデートだったのに」
あたしのせいで……公園しか行かなかった。
お店に行けなかった……。
俯いていると、耀はあたしの頭を撫でた。
「気にしてないよ。かえって、芽衣といちゃいちゃできてよかったかも」
そう言って笑顔を見せた。
う……。
「芽衣にずっと触ってられたから、許してあげる」
頬に手を添えて、耀はあたしの耳元で囁く。
そして視線を口元に落とすと、甘い声で呟いた。
「……キスしていい?」
「え……うん」