【長編】好きって言って
「ちょっ……」
輝の背中に話しかけようとしたら、開いている扉から優雅が出て来た。
「あれ?芽衣じゃん」
そう言ってあたしに笑顔を見せる優雅。
すごい笑顔であたしに微笑んでくれたけど、あたしの顔は曇っていた。
だって……輝の態度がすごく冷たかったから。
シュンとしながら輝の背中を見つめる。
すると優雅はあたしの輝への視線に気付いて、あたしの頭をポンポンと叩いた。
あたしはその優雅の顔を見上げると、優雅の顔は切なそうだった。
いつもつり上がっている眉は下がっていて。
いつも力強い眼差しは、弱々しかった。
「……優雅」
その顔を見て、あたしは泣きそうになった。