【長編】好きって言って
すると耀が困ったような顔をしながら、階段を降りてきた。
「優雅……泣かすなよ」
そう言って耀は優雅を睨む。
「おれじゃねえよ」
そう返して優雅は背を向けて、歩いている輝を追いかけた。
走りながらこっちに振り返ると、優雅は笑った。
「耀!そっちはよろしく」
って……。
何よ!?それ!!
走り去っていく優雅を睨んでいると、スッとあたしの腰に腕が回ってきた。
ドキ……。
その腕が耀のものだってすぐに分かったあたしは少し体を強張らせた。
ゆっくりと振り返ってみると、耀があたしを優しい顔で見下ろしていた。