【長編】好きって言って
「芽衣……さっきは何で泣いてたの?」
その言葉にあたしはビクッとした。
「え?」
耀の顔を見ると、耀は笑顔を作った。
その笑顔を見て、思わず顔を赤らめたあたしはバッと耀に背を向けた。
輝の事……言っていいのかな。
何となく……気まずくて言えないよ。
するとあたしを抱きしめる力を強くした。
「ね……言って?」
そんな優しい声で言うからあたしは答える事にした。
「輝……の事で泣いてた」
キュッとスカートを掴んであたしは俯いた。
仲のいい幼馴染だった輝と気まずくなったのは、あたしが気持ちに答えられなかったから。