【長編】好きって言って
そう言って耀は、フッと笑った。
「でも……」
あたしが口を開くと、耀はあたしの手を握った。
「あいつだって……こうなった時の事は考えてた筈だよ」
そう呟くと、あたしを抱きなおして向き合わせた。
目と目が合って、頬を赤らめていると耀は真剣な表情であたしを見つめた。
「俺だってしてたから」
「え?」
「芽衣が輝を選ぶかもしれないって考えてたし。その時どう接したらいいかも考えたし、覚悟もしてた」
そうだったんだ……。
「俺と同じ事輝も考えてただろうし、覚悟してたと思うよ」
あたしがどっちを選ぶか悩んでいる間に……。
耀も輝も。