【長編】好きって言って
タルトを食べ終わると、あたしはケーキの箱を覗き込んだ。
それに反応したのは、輝。
「お前……まだ食うの?」
眉間に皺を寄せながら、呟く輝にあたしは大きく頷いた。
「うん!」
すると輝は大袈裟に見えるような大きい溜め息をついた。
「はぁ……。太るぞ」
カシャン。
ケーキを刺していたフォークが手から滑り落ちた。
それは言わないでいただきたかった。
固まっていると、優雅が何かを思い出したようで手を叩いた。
「そうだ!ケーキで忘れてたけど遊園地行かね?」
そう叫んで、4枚のチケットを取り出した。
え?
「遊園地!?」
落ち込んでいた事も忘れて、あたしは目を輝かせて優雅を見た。
「はぁ?めんどっ」
欠伸をしながらボソッと呟く輝。
「優雅なんでチケット持ってんの?」
優雅が持っているチケットを指差す耀。
「何か母ちゃんが仕事先で貰ったんだとよ」
へぇ。
「でさ。今から行こうぜ!」