【長編】好きって言って
「何?」
不機嫌な顔でおれを見つめた輝はそう冷たい声で言った。
「何じゃねえだろ?さっきの芽衣見ただろ?」
お前のせいで泣いてんだよ。
お前の為に泣いてんだよ。
お前を思って泣いてんだよ。
おれは輝を睨みながら呟くと、輝は溜め息をひとつ溢した。
「……だから?」
無責任な輝の一言に、カッとなったおれは咄嗟に輝の胸座を掴んだ。
「だからじゃねえだろ!?」
さっきまでお前を庇ってたけど、前言撤回だ!!!
「今のお前は間違ってる!!」
そう言っておれは輝を睨みつけた。