【長編】好きって言って
何も言わずにおれを見つめている輝におれは続けた。
「おれはお前の事思って今まで何も言わなかったけど、お前がそんな冷てえ事言ったら芽衣が可哀想だろうが!」
大事な幼馴染の気持ちに答えられなかったって、芽衣はずっと悩んでるのに。
前みたいに普通で接する事できなくなって泣いてるのに。
「辛くても、好きだった女傷付けるなよ」
唇を噛み締めておれは俯いた。
「男だったらフラれたとしても、好きな女泣かせんなよ!!」
そう怒鳴っておれは輝を突き飛ばした。
そして背中を向けると、おれは小さく呟いた。
「芽衣は自分の事よりお前の事で悩んでんだから。……お前自分ばっかの事考えてんじゃねえよ。ばーか」
そう言っておれはまた輝の方を振り向いて、手を差し出した。
「ほら。……気晴らしにカラオケでも行くぞ」