【長編】好きって言って
前と同じ笑顔。
その笑顔を見た時、おれは自分の心がスーッと軽くなるのが分かった。
輝は……前に進み出したんだ。
そう察したおれはニッと笑って、輝の肩に腕を回した。
「ありがとうとかねえのかよ?」
笑いながらそう聞くと、輝はおれを睨んだ。
「別にお礼言う事されてないし」
って……おい。
お前はホントに何なんだ?
「ったく……」
そう苦笑いしながらおれは歩き出す輝の後を歩き出した。
ホントに素直じゃねえな。
そう思いながら、胸が晴々としてるのは。
きっと……おれだけじゃねえよな?