【長編】好きって言って
芽衣は兄貴を好きなんだから……。
オレを見てそんな同情するみたいな顔するなよ。って。
思ってた。
でも……今思えば、芽衣はそんな同情でオレを見ていたんじゃない。
あの下がった眉が。
あの潤んだ瞳が。
訴えていたのは、同情なんかじゃなかった。
って……。
優雅の言葉で気付いた。
オレは……今まで芽衣の何を見てきたんだろう。
今までずっと芽衣のいい所に惹かれて、遠くから見てたけど。
オレはフラれた事によって……。
芽衣の優しさから逃げていた。