【長編】好きって言って
オレに背を向けた優雅は小さく呟いた。
「芽衣は自分の事よりお前の事で悩んでんだから。……お前自分ばっかの事考えてんじゃねえよ。ばーか」
だからオレが勝手に作った壁を……。
その壁に気付いた芽衣がしていた悲しい顔を。
“同情”なんて言葉で片付けてた。
“同情”だって思い込んで逃げてた。
ホントは……オレが1番フラれた時、いつも通りにしようって思ってたのに。
オレが勝手に壁作ってた。
ごめんな?芽衣……。
こんなオレだったから、兄貴に負けたんだよな。
こんなオレだったから、兄貴に本気でぶつかれなかったんだな。
今……気付いたよ。