【長編】好きって言って
やっぱ……こいつに理解してもらうとか、何かムカつく。
なんて思いながらオレは優雅を睨んだ。
「別にお礼言う事されてないし」
だってほら?
お前はオレの今考えている事を察してるだろ?
だからお礼を言う必要はない。
「ったく……」
そう苦笑いしながら優雅は歩き出すオレの後をついてきた。
言葉は要らない。
だって優雅とオレは、そんな言葉なんていらないくらい一緒にいるから。
あいつが今考えてる事はオレには分かるし。
オレが考えている事をあいつは知ってるから。
さっきの胸の重みが嘘のように、今は清々しい。