【長編】好きって言って



思わず耀の後ろ姿を見上げると、耀は真っ直ぐに女の人を見つめながら口を開いた。




「俺が選んだ子を……君に口出しされる筋合いはない」




俺が選んだ子……。




その言葉が涙が出そうになるくらい嬉しかった。




ホントは耀には似合わないとか、そんな事考えて不安だったけどその言葉をくれるだけであたしの心は安心する。




単純だって思うかもしれないけど、単純になっちゃうくらい嬉しいんだよ。




耀のあたしに対してくれる言葉のひとつひとつが。




嬉しさに涙が出て、あたしは握っている手が震えた。




すると女の人は、耀を見つめて唇を噛み締めると涙を流しながら去って行った。




すると耀はあたしの方に振り返ってあたしの震えた手を握ったまま優しく抱きしめてくれた。




「芽衣……お願い、泣かないで?」




そう言ってあたしを抱きしめてくれている体は濡れていた。




「あたしのせいで……濡れちゃった、ね?」




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