【長編】好きって言って



そう言って濡れた耀の柔らかい髪を触ると耀は困ったように笑った。




「芽衣が濡れなくてよかった」




フッと優しく笑うと、耀はあたしの頬に手を添えた。




でもその手は震えていた。




それに気付いたあたしは、耀を見上げる。




「……耀?」




そう名前を呼んでみると、耀は俯いてしまった。




そしてキュッとあたしの腰に回す腕をきつくすると、掠れた声で言った。




「……俺が今まで酷い事してきたから、芽衣にも嫌な思いさせた。……ごめん」




そう呟きながら耀は、あたしの髪に指を通した。




……耀。




あたしはその姿を見て胸が締め付けられて、酷く胸が痛かった。




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