【長編】好きって言って
悪意を込めてそう言うと、輝は興味なさそうに呟く。
「生まれつきだからねー」
ムカムカ。
こいつ、相手にしてらんない。
「あっそ。生まれつきなんて、可哀想ー」
そう言ってあたしはベッと舌を見せてリビングへと歩き出した。
するとそんなあたしを見て輝はフンッと顔を背けた。
ムカついていながら内心喜んでるあたし。
だって……ホントに前の輝とあたしに戻れたから。
前と変わらない会話をできるようになったから。
「ばーか」
そう言ってあたしは再び輝の方を見て睨んだ。
その後フッと笑ってあたしは背中を向けた。
「ありがとね」