【長編】好きって言って
髪の毛をワックスで流して、オレは欠伸をしながら部屋を出て行った。
大きな優雅の声と、楽しそうに笑う芽衣の声がするリビングに向かう。
中に入ると、2人が一斉にこっちを見た。
「何だよ」
ギョッとしながら、目を細めると芽衣は残念そうに呟いた。
「何だ、輝かぁ」
……。
「はいはい……。兄貴じゃなくて悪かったね」
そう言って芽衣を睨み。
こいつは……。
見る目がない。
あんな女たらし好きなんて。
でも、まぁ……。
そんな見る目ない女を、ずっと好きなオレもどうかしてるか。
幼馴染、んでもって。
隣に住んでるオレ達はずっと一緒だった。