【長編】好きって言って



「だからオレは、オレのままでいいって思えた」




「え?」




「俺が憧れてた兄貴が普通の人間だって分かったから。近い存在だって思えたから」




普通の人間。




近い存在。




その言葉がどんなに嬉しい言葉か。




俺は今まで、みんなが勝手に作った俺に答えようと必死だったから。




そのせいで自分を汚してしまった。




でもそんな俺の本当の姿を分かってくれたから。




すごく嬉しくて、心が軽くなった。




「ありがとな、輝」




そう言って微笑むと、輝は無表情で口を開いた。




< 256 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop