【長編】好きって言って
「別にお礼言われる事してないし」
って……。ホントに素直じゃないな。
なんて思いながら俺は、輝の肩に手を伸ばした。
「輝……俺そういうとこ好きだよ」
そう言うと、輝はパシッと手を叩いて俺を睨んだ。
「気色悪い事言うなよ」
「あはは」
苦笑いしていると、輝は雑誌を見始めた。
「そういう事はオレにじゃなくて、芽衣に言えや」
「あはは……そうだねぇ」
ありがとね。輝。
こんな頼りない兄貴だけど。
だからこそ、こんなできた弟になったのかもしれないね。