【長編】好きって言って
そう言ってから笑いをした。
「ははっ……。おれはお前を何とも思ってねえよ」
そう言って笑顔を作った。
そしてしゃがみ込んでいる楓を見下ろす。
見下ろして、楓は馬鹿にしたように笑ってると思った。
だよねーって言ってくれると思った。
でも……。
「……馬鹿みたい」
そう言って今にも泣きそうな顔でおれを睨んでいた。
「え……」
その表情を見て、おれは慌てて楓に近づいてしゃがみ込んだ。
「あんたのそういう所嫌いなのよ!」
そう言っておれを突き飛ばした。