【長編】好きって言って
「ってぇ!!」
また尻餅をつくと、楓はおれを睨んで立ち上がると走り去って行った。
その姿を見ておれを呆然としてしまった。
え……何であいつ怒ってんの?
おれの事……。
「やっぱ嫌いだったんじゃん……」
そう小さく呟いて、おれは自分の胸元をギュッと掴んだ。
胸が……痛い。
こんなの初めてだ。
こんな胸の痛みがあるなんて、知らなかった。
よかった……。
もしあの時、おれが気持ち伝えてたらもっと……。
この胸の痛みは大きかったかもしれない。