【長編】好きって言って
「いや!違ぇな!あいつが元々おれの事好きじゃなかった」
無理に笑顔を作ってそう言うと、芽衣は思い切りビンタしてきた。
「あんた馬鹿じゃないの!?まだ告ってないんでしょ!?だったらこんなとこで座ってないで早く追いかけなさいよ!」
眉間に皺を寄せておれを睨む芽衣。
すると輝はおれを見下ろして口を開いた。
「言って来いよ……。後悔すんなよ」
そう言って輝は目を伏せた。
「お前が言うと……すげえ、説得力あんな」
すると輝はおれをギロッと睨みつけた。
「冗談だよ。分かったよ……おれ、言ってくる」
そう言って立ち上がった。
すると芽衣と輝は、おれを見て頷いてくれた。
そうだよな。
こいつ等は今のおれ以上に辛かったんだ。