【長編】好きって言って
その声があまりにも大きくて、一瞬おれは怯んだ。
「さっきは悪かったよ」
「別に」
そう言って楓は、視線を逸らした。
「悪かったって!!」
そう言っておれは楓をこっちに向かせた。
「おれ……素直じゃないし、正直じゃないし。だからさっき……あんな事言っちまった」
俯きながらそう言うと、楓は大人しくなった。
「おれの事嫌いって言ってたし……フラれるのは分かってる。けど……」
そう言っておれは再び楓を見ると、楓はいきなりおれの唇にキスした。
……へ?
「さっきの優雅は嫌いだけど……今の優雅は好き」
……へ??
突然の事でキョトンとするおれ。