【長編】好きって言って
「芽衣?」
耀は慌てた様子であたしの前にしゃがみ込む。
「もうやだぁ……ふぇ」
やだやだ。
輝の馬鹿ぁ。
泣きじゃくっていると、耀はあたしの頭を優しく撫でてくれた。
「大丈夫。俺がついてるから」
そう囁いて、耀はあたしをゆっくりと抱っこした。
「うぅ〜」
耀は外に出るまであたしを抱っこしてくれた。
涙は止まらなかったけど……。
抱っこされている間は、何故かお化け達の声は聞こえなかった。
……耀、大好きだよ。
そんな気持ちがお化け屋敷に入っている間に大きくなった……気がした。