【長編】好きって言って
お化け屋敷から無事?出て来て、あたしはやっと泣き止んだ。
耀に下ろされて、ベンチに座らされたあたしはハンカチを握り締めながら俯く。
すると耀はあたしに向き合ってしゃがむと、優しく微笑んだ。
「もう大丈夫?」
「うん……ごめんなさい」
泣きじゃくって。
重いのに抱っこさせちゃって。
すると耀はフッと笑った。
「芽衣は昔からお化け屋敷嫌いだったもんね。仕方ないよ」
耀は優しいね。
耀……あたしは、その優しさが一番好きなんだよ?
「おーい!」
突然遠くから聞こえてきた声に思わずビクッとした。
その声がする方を見ると、ジュースを持っている優雅と輝がこっちに向かって歩いてくる。