【長編】好きって言って
駄目だ。
耀には敵わない。
あたしは赤い顔を隠そうと俯いた。
「遊びに来たから入れてくれる?」
背を向けて玄関を見つめてそう言うと、耀はあたしに覆いかぶさるようにあたしの頭の横に両手をついた。
ドキドキ……。
え!?どうしよう。
こういうのはどう対処すればいいの!?
頭がパニックのあたしは固まる。
すると頭の上からクスって笑い声がしたと思ったら、耀はあたしの耳元で囁いた。
「あれ?芽衣ちゃん……俺の事夢中にさせてくれるんじゃなかったっけ?」
「え……」
その声は優しくて、ゾクッとする。
「そんなんじゃ、俺は惚れさせられないよ?」