【長編】好きって言って



すると耀は、スタスタと自分のベッドの方に歩いて行って、ストンとベッドに腰掛けた。




「芽衣が……部屋に入るの久しぶりだね」




微笑みながらそう呟く耀は、何だかいつもと違う気がした。




「……うん」




あたしは静かに頷くと、耀はフッと笑った。




「芽衣はさ……。俺をどうやって惚れさせるの?」




「それは……」




いつもと違う耀の雰囲気と、緊張のせいか。




全く頭が働かなくて、言葉が出てこない。




「芽衣……」




俯いていると、耀はあたしの名前を呼んで両手を広げた。




「おいで……」




その甘い声に、あたしの体は気付いたら動いていた。




< 55 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop