【長編】好きって言って
その表情は……今まで見た事がなくて、ほんの少しの恐怖心が生まれた。
これで……いいんだよね?
耀を真っ直ぐに見つめると、耀は少しずつあたしに顔を近づけてきた。
覚悟を決めたあたしは、静かに目を閉じた。
そして首筋に耀の唇が触れた時……。
「……ごめん」
耀は小さな弱々しい声でそう呟いた。
「え……?」
耀はすぐにあたしから離れてあたしから視線を逸らした。
キョトンとするあたしはゆっくりと起き上がって、耀を見つめる。
耀はゆっくりとベッドの端に移動して、そこに座る。
そして重い沈黙を破った。
「俺には芽衣の気持ちに答える資格なんて……ない」