【長編】好きって言って
耀はあたしを見つめながら、その長い指であたしの涙を拭った。
「俺には分かる……。芽衣を想ってくれる人は他にいる。それは俺じゃないんだよ」
「そんなの嫌っ……嫌だよぉ……あたしっ」
あたしには耀しか考えらんないよ。
他にいないよ。
すると耀は俯きながら、あたしから手を放す。
「分かったら……帰って」
「やだ!分かんない!」
「芽衣……」
「分かんないよ!何であたしの気持ちを耀が分かるの!?」
あたしは駄々っ子のように、耀に怒鳴った。
何で耀があたしの気持ちを決める権利があるの?
決めるのはあたしでしょ?
「だから帰らない!!」