【長編】好きって言って
泣き叫んだ途端……。
耀は唇を噛み締めて、拳を作ると大声で叫んだ。
「帰れって言ってるだろ!!!」
その声に、あたしはビクッと体を振るわせた。
怒った耀なんて、初めて見たから。
怒鳴り声なんて、初めて聞いたから。
「いいから……帰れよ」
その声にあたしは、また涙が溢れた。
もう……あたしの声なんて聞いてくれないんだね。
もう……あたしの目なんて見てくれないんだね。
あたしは唇を噛み締めながら、ベッドから立ち上がって駆け足で部屋を出た。
階段も駆け下りて。
“おじゃましました”なんて言わないで、家を出た。
ただ必死だった。