【長編】好きって言って
「俺はただ……芽衣の気持ちに答えられない。って言っただけだよ」
その言葉を聞いて、オレの胸座を掴む力が抜けた。
「嘘だろ……?」
「ホントだよ」
その真剣な目を見て、オレは体温が下がった感じがした。
「あんだけ……芽衣に期待させといて……何だよ、それ」
優しい笑顔振りまいたり。
芽衣の頭撫でたり。
手繋いだり。
散々芽衣に期待させておいて……。
「そんな終わりねえだろ!?」
「お前に何が分かんだよ!」
初めて聞いた気がした。
兄貴の怒鳴り声を。