【長編】好きって言って



「俺はただ……芽衣の気持ちに答えられない。って言っただけだよ」




その言葉を聞いて、オレの胸座を掴む力が抜けた。




「嘘だろ……?」




「ホントだよ」




その真剣な目を見て、オレは体温が下がった感じがした。




「あんだけ……芽衣に期待させといて……何だよ、それ」




優しい笑顔振りまいたり。




芽衣の頭撫でたり。




手繋いだり。




散々芽衣に期待させておいて……。




「そんな終わりねえだろ!?」




「お前に何が分かんだよ!」




初めて聞いた気がした。




兄貴の怒鳴り声を。




< 70 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop