【長編】好きって言って



今までは、オレは芽衣の気持ちを優先したかったから身を引いてたけど。




兄貴が芽衣から逃げるなら、オレは芽衣を守る。




オレは兄貴とは違う。




「兄貴……」




兄貴を真っ直ぐに見つめる。




「芽衣がオレを選んだとしても、後悔すんなよ」




それだけを言うと、オレは兄貴の部屋を出た。




オレは昔から、こんな性格だったから。




今になっても、好きな女を苛める事しかできなかった。




照れ隠しに毒舌吐いて、意地悪な奴になってしまう。



何度自分を嫌っただろう。



何で優しくできないんだろうって。




何度自分を責めただろう。



< 72 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop