【長編】好きって言って
今までは、オレは芽衣の気持ちを優先したかったから身を引いてたけど。
兄貴が芽衣から逃げるなら、オレは芽衣を守る。
オレは兄貴とは違う。
「兄貴……」
兄貴を真っ直ぐに見つめる。
「芽衣がオレを選んだとしても、後悔すんなよ」
それだけを言うと、オレは兄貴の部屋を出た。
オレは昔から、こんな性格だったから。
今になっても、好きな女を苛める事しかできなかった。
照れ隠しに毒舌吐いて、意地悪な奴になってしまう。
何度自分を嫌っただろう。
何で優しくできないんだろうって。
何度自分を責めただろう。