【長編】好きって言って



すると楓は溜め息をついた。




「芽衣は優しすぎる」




「え?」




「恋なんてしつこくてなんぼよ」




楓の顔をキョトンと見つめると、フッと笑った。




「ホントに好きなら諦めちゃ駄目」




ホントに好きなら……。




また頬杖をつくと、楓は目を閉じた。




「でも、まぁ。耀さんの事忘れて、想ってくれる人のとこに行くっていうのもありかもね」




それは……輝の事を選ぶって事だよね。




「想われるっていうのは、すっごい幸せな事だから」




外を眺めながら楓は深く息を吐いた。




「みんな想ってくれる人を選びがちだけど」




< 93 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop