【長編】好きって言って
すると楓は溜め息をついた。
「芽衣は優しすぎる」
「え?」
「恋なんてしつこくてなんぼよ」
楓の顔をキョトンと見つめると、フッと笑った。
「ホントに好きなら諦めちゃ駄目」
ホントに好きなら……。
また頬杖をつくと、楓は目を閉じた。
「でも、まぁ。耀さんの事忘れて、想ってくれる人のとこに行くっていうのもありかもね」
それは……輝の事を選ぶって事だよね。
「想われるっていうのは、すっごい幸せな事だから」
外を眺めながら楓は深く息を吐いた。
「みんな想ってくれる人を選びがちだけど」