【長編】好きって言って
楓と目が合う。
「でも……それがホントに、正解なのかは分からないけど」
「正解?」
「うん。もしかしたら、想い続けて……叶うっていう幸せもあるからね」
想い続けて……叶う。
「人によって、想われる、想うっていう幸せがあるから」
あたしは俯いて、また楓を見つめた。
想ってくれる人を選んで、幸せを感じる。
想い続けて相手を振り向かせて幸せを感じる。
「楓は……どっちを選ぶ?」
「あたしは、同じ好きなら想ってくれる人を選ぶかな」
楓は輝を選ぶんだ。
「愛されたいって欲求の方が愛したいって欲求より大きいから」
「そうなんだ」