幸せのカケラ
物理学的な彼氏
「ねぇ、最近変じゃない?」

いつもの様に、僕の部屋でTVを見ながら君は言った。

「何が変って?」

僕も、いつもの様にパソコンの画面を見ながら、声だけを君に向けた。

「何って世界がよ。地震多いし戦争も起きているし、飢餓に苦しむ国もあるし、環境破壊もあるし」


丸いチョコレートを口に放り込み、君は白い指先を、猫みたいに舐める。



「ホントに地球って、滅びてしまうんじゃないのかな」

「不吉な事を、あっさりと言うねぇ」

「だって思うんだもの」


少し拗ねた様に、君は小さな唇をすぼめた。





TVは相変わらず、戦争やテロや、感染病や事故や、刑事事件や環境汚染や、難民のニュース。

アナウンサーは他人事の様に、事件を報道する。

本当に君が言う様に地球が滅びるとしても、この人は今の様に、他人事のニュースとして報道できるだろうか。



「取り乱すに決まってるじゃない」

君は、またもやあっさりと言った。


「みんなそうよ、助かりたいもの。だって何もかも無くなっちゃうのよ?」

「相対性理論だと、時間も空間も物質と共に消滅するってなるね」

「魂もかな」

「それは宗教の話だから分からないよ」
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