幸せのカケラ
僕は、それに答えられなかった。

君は、その答えを知りたいと言いたげな瞳で、僕を見上げる。




「魂の情報って、肉体が滅びても消滅しないって話だよ?」

「魂?」

「本で読んだの」

「じゃあ何?僕達の記憶は、魂の情報として生き続けるって事?」

「うん」

「輪廻転生の様な?」

「うん」

「転生するべき地球が無いのに?」

「あ、そっか」

「君の話は支離滅裂だよ」



そこが、君の面白い面でもあるけれど。






「じゃあ、もし滅びるとしたら、一緒に居られるかなぁ」

「滅びる瞬間に?」

「うん」

「二人一緒って事?」

「うん」

「現実問題として、それは無理なんじゃないかな」



君は少し、悲しそうな顔をした。



「やっぱり、そうかなぁ」

「何月何日の何時何分って分かれば、可能なんだろうけれどもね」

「理屈っぽいなぁ」

「君が考えない人なんじゃないか」

「私はインスピレーションの人間だもの」



知ってるよ。





なんだぁと溜め息を吐き出し、うつむいた君は、泣いている様にも見えた。







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