幸せのカケラ
「でも、地震なら予想できるでしょう?」

「まぁね。でも地震を予知できるのは、ほんの数十秒前だよ?海底地震計がキャッチしてから解析を急いでもね」

「前触れとかあるじゃない」

「警告って意味?でも、何時何分まではっきりとは分からないよ。そこまで研究されていれば、天気予報だって何時何分に雨が降るとか、とうの昔になっているはずだよ」

「物理学的には、でしょ?私が言っているのは、前触れ。ナマズが暴れるとか犬が吠えるとか、鼠が集団で逃げるとか」

「それは自然界的なもので、根拠は無いよ」


君は、面白くないと唇をとがらせる。




「じゃあ、生まれ変わった時は?」

「地球は滅びてるのに?生まれ変わる大地が無いよ」

「地球じゃなくていいよ。どこかの遠い星とか」



どこの星に生まれるつもりなんだろう。




「つまり、また会えるかって事?」

「そう」

「それこそ宗教だよ。根拠が無い」

「それは…そうだけど」




うつむいた君。

一生懸命、僕から聞きたい言葉を引き出そうとする君。


僕は、もう前から気付いていたんだ。


君が思うよりも僕はね、物理的な数字では出せないものに、気付いていたんだ。
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