ハツコイ☆血肉色
★2 円城寺
女を切り刻む瞬間を想像していた。
甘く熟した極上のシャトー・マルゴーを舌の上で転がしながら、じっくりと女を観察する。
上玉だ。
きめ細やかな白い肌。滑らかな質感と弾力性が手に取るようにわかる。
艶、潤い、張り、それらが醸し出す健康美。申し分ない。
ほどよく脂肪を蓄えた肢体が描くグラマラスな曲線は、僕の求めるヴィジョンをまさしく体現している。
このところ、意味のない過剰なダイエットに狂奔している女ばかりでほとほとうんざりしていたが、この女は一級品だ。
あるいは、これ迄で最高の素材かもしれない。
「怖いなあ」
ワインを啜りながら女がそう言った。
「……なにが?」
「今日コンパに来てた女の子たちに恨まれちゃいそうだよ。だって、みんな円城寺くんのこと狙ってたもん」
「そんなことないよ。それに今だから言うけど、僕は初めからユリカちゃんにしか目がいかなかったよ」
「またまたー、えへへ……」
嘘ではなかった。
一目見て釘づけになってしまったのは事実だ。
それほどに、この女の持っている“モノ”は際立っていた。
僕と同じ理由でこの女に惹かれる男も何人かいたようだが、さいわい女のほうから僕に擦り寄ってきたこともあり、あの場を離れてここに連れて来るまでは何の苦労もなかった。
ここまでの首尾は上々だ。
およそ二ヶ月ぶりの“オペ”に、否応なく気分が高揚する。
リビングのスピーカーからは、ラフマニノフの交響的舞曲が流れていた。
スヴェトラーノフの畳み掛けるようなアンサンブルが、神経の昂りをいっそう煽り立てる。
甘く熟した極上のシャトー・マルゴーを舌の上で転がしながら、じっくりと女を観察する。
上玉だ。
きめ細やかな白い肌。滑らかな質感と弾力性が手に取るようにわかる。
艶、潤い、張り、それらが醸し出す健康美。申し分ない。
ほどよく脂肪を蓄えた肢体が描くグラマラスな曲線は、僕の求めるヴィジョンをまさしく体現している。
このところ、意味のない過剰なダイエットに狂奔している女ばかりでほとほとうんざりしていたが、この女は一級品だ。
あるいは、これ迄で最高の素材かもしれない。
「怖いなあ」
ワインを啜りながら女がそう言った。
「……なにが?」
「今日コンパに来てた女の子たちに恨まれちゃいそうだよ。だって、みんな円城寺くんのこと狙ってたもん」
「そんなことないよ。それに今だから言うけど、僕は初めからユリカちゃんにしか目がいかなかったよ」
「またまたー、えへへ……」
嘘ではなかった。
一目見て釘づけになってしまったのは事実だ。
それほどに、この女の持っている“モノ”は際立っていた。
僕と同じ理由でこの女に惹かれる男も何人かいたようだが、さいわい女のほうから僕に擦り寄ってきたこともあり、あの場を離れてここに連れて来るまでは何の苦労もなかった。
ここまでの首尾は上々だ。
およそ二ヶ月ぶりの“オペ”に、否応なく気分が高揚する。
リビングのスピーカーからは、ラフマニノフの交響的舞曲が流れていた。
スヴェトラーノフの畳み掛けるようなアンサンブルが、神経の昂りをいっそう煽り立てる。